土器 |
土器の形態による分類 |
|
土器形態に関しては、口径と高さの値によって次のように分類される。
甕(かめ)
くびれのあるもので、頸と胴との接点の幅が最大幅の3分の2以上のもの
壺(つぼ)
くびれのあるもので、頸と胴との接点の幅が最大幅の3分の2以下のもの
深鉢(ふかばち)
くびれのない鉢形のうち、高さが口径の3分の2以上のもの
浅鉢(あさばち)
くびれのない鉢形のうち、高さが口径の2分の1ないし3分の1程度のもの
皿(さら)
高さが口径の3分の1以下のもの
高坏(こうはい)
高さが3分の1くらいの台のつくもの
|
土器による編年 |
土器による編年 |
|
土器の様式の変化からその発達順に並べていく方法である。
土器の様式だけではなく、地層の出土位置、その他の出土物も検討する。
層位学的研究と型式学的研究
日用品として使用される土器は、時期によって、用途や成形技法、形状が変化するため、型式学的研究がなされ、時間を計る物差しとして考古学上の編年の指標や研究の対象とされる。
胎土分析と産地同定
また、土器は胎土中の岩石や鉱物の組成と出土周辺地域の地質を比較すること(胎土分析)によって、在地的な土器であるか外部から搬入されたものであるか産地を推定すること(産地同定)がある程度可能であり、土器製作集団の活動や移動を示す大きな指標にもなっている。
炭素14年代測定法
土器の年代は、今ではおおむね炭素14年代測定法が受け入れられている。
|
土器の年代的分類 |
縄文式土器 |
|
縄文土器
当初は炉に突き刺して煮炊き用として用いられたため、丸底が多い。
①縄文時代早期
尖底土器があらわれる。
②縄文時代前期
平底が一般的になり、器種が増加する。
③縄文時代中期
北陸地方の火焔土器などのようにきわめて装飾的な傾向が顕著になる。
一方で精製土器と粗製土器の区別も明瞭になる。
④縄文時代後期以降
いっそう器種が増え、装飾的傾向は鎮まる一方で洗練さを増す。
⑤縄文時代晩期
きわめて精緻で工芸品的な亀ヶ岡土器(大洞式土器)が日本列島東半に広がる。
鳥取県の縄文土器
早期 底が尖る。押型文が多用される。
前期 爪形文や条痕文がつけられ、底が丸いものが多い。
中期 底は平らで、縄文をつけた後、爪形文・沈線文などで飾られる。
後期 文様のある精製土器と、無文の粗製土器に分かれる。精製土器は磨消縄文で飾られる。
晩期 土器の形が単純になり、器種も深鉢・浅鉢の2つ。凸帯文土器が分布する。
|
弥生式土器 |
|
弥生式土器とは
弥生時代に使われた素焼きの土器
縄文土器に比べ、高温で焼かれ、相対的に薄手で硬質であるとされる。
名前は、東京都文京区弥生町で発見されたことによる。
(最新の研究では、弥生式土器の命名起源の土器は古墳時代の土師器であるという説もある)。
籾殻の圧痕をともなう弥生土器が各地で見つかっており、稲作の本格的な展開を傍証している。
|
土師(はじ)器 |
|
土師器とは
弥生土器の流れを汲む、日本在来の土器で、赤褐色で軟質の土器である。
古墳時代から11世紀にかけて多くつくられた。
氏姓制度において担当する部の集団を「土師部(はじべ)」と呼んだ。
埴輪も土師器の製法でつくられている。
庶民もふくむ一般的な使用が多いが、律令制度が整備、定着するにしたがい須恵器工人との交流がうまれ、ロクロ使用が採り入れられる。
しかし、手づくね土器には独特の祭祀的意味が付加され、これが中世以降のかわらけにつながっている。
|
須恵器 |
|
須恵器
朝鮮半島とくに伽耶からの影響を受けた土器で、ロクロを用いてつくられた灰色の硬質の土器である。
古墳時代から11世紀にかけて多くつくられた。
担当する部は「陶作部(すえつくりべ)」である。
土師器にくらべ支配階級や官人の使用が多い。
律令制度が整備、定着するにしたがい土師器工人との交流がうまれている。
珠洲焼・常滑焼・瀬戸焼など中世陶器へつながる土器である。
|
特殊器台(とくしゅきだい) |
|
特殊器台とは
弥生時代の後期後葉に吉備地方で生まれ、華麗な文様を施し、丹で赤く塗るなどの装飾性に富んだ大きな筒型・壺型の土器で、首長の埋葬祭祀に使用された。
これらの特殊土器類が発達し変遷して円筒埴輪の発生や成立に関係した。
特殊器台型土器・特殊壺型土器とも言われる。
|
参考資料 |
|
「考古学事典」 (三省堂 2002)
wikipedia 「土器」 |
|
 |
「ファンタジ-米子・山陰の古代史」は、よなごキッズ.COMの姉妹サイトです |
 |
|